悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
◇◆◇

「それにしても、あなた付いてきて大丈夫なの?」

 わたしを背中に乗せたレイアが心配そうな声を出す。
 わたしは風にはためく髪の毛を押さえた。

「シュタインハルツの、それもあなたの在籍していた魔法学校にわたくしと一緒に行ったらあなたが生きているということがバレてしまうわよ」
「ああ……そのことね」

 この非常時にレイアはわたしの心配をしれくれているらしい。

「いまはそれどころじゃないでしょう。ルーンの大事な卵が盗まれたのよ。しかも、犯人がフローレンスとか……意味が分からないし。レイアが一人で乗り込むより、わたしもいっしょの方がいいと思うの。王都の地理とかレイア一人じゃ不安でしょう」
「あら、分からなければ風の精霊に聞くもの」

 レイアはわたしの心配を一蹴した。
 わたしたちはいま、空を飛んでシュタインハルツの王都へ、シュリーゼム魔法学園へ向かっている最中。直接移動魔法を使わなかったのは、フローレンス達がどこに逃げ込んだのか正確に分からないため。

 ルーンはアルマン村まで追い詰めて派手に魔法を使って威嚇をしたけれど、最後の最後で逃げられたと言っていた。彼らが移動魔法を発動させたから。

「でも、それにしたってわたしがいたほうが何かと便利よ」
「でもでもぉ。レイア様もティティも、リジー様のことを心配しているんですぅ」

 と、ここでティティが口を挟んできた。

 フローレンス達を追うことになったわたしたちの元へティティがやってきたのだ。わたしもリジー様のお役に立ちますぅ、と言って彼女はわたしの隣に座っている。(どうもレイアと同じスピードで飛ぶのは大変らしい)

「でも、やっぱりルーンのあの顔を見ちゃうと居ても立っても居られないのよ」
「ありがとう、リジー。優しいのね」

 レイアがふわりと微笑んだ気配がした。

「それと、単純な疑問なんだけど。ルーンの旦那さんは、その……どうしているの?」

 レイアの側にミゼルがいるように、ルーンの側には旦那さんはいないのかな。それがわたしの疑問だった。竜が二頭いればフローレンスとアレックス先生だけでは太刀打ちできるはずもないと思う。

「ルーンの旦那さんは、黒竜との諍いに関わっているの。人間の世界で言うなら単身赴任というやつかしら」
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