悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
 竜の子供が育ちにくいというのはレイアからも聞いたけれど、今のフェイルとファーナは頑丈そのものだし、それはもう元気に動き回っているから。

 ティティはわたしの後ろに回って髪を梳いてくれる。

「にしてもリジー様の髪の色。わたし、とっても親近感がわきますぅ」

 うっとりと言うティティには悪いけれど、わたしは自分の髪の色があまり好きではない。ストロベリーブロンドって触れ込みだけれど、要するに赤毛。せっかくなら金髪の方がよかったなと小さなころ思ったものだ。

「あら、あまり好きではないですか?」

 わたしの反応からティティがそう伺ってくる。

「人間の世界では、金髪の方が受けがいいのよ。わたしの髪と目の色ってきつい印象を与えちゃうみたいで。この顔立ちも相まって」

 わたしは嘆息する。整ってはいるけれど、柔和とは程遠いきつめの顔立ち。そりゃ悪役令嬢なんだから当然よね、と頭の中で納得するものの実際にこの顔のせいで怖いとかきついとか陰で言われたら多少メンタルはへこむ。

「そうですかぁ? わたしは好きですよリジー様のお顔も髪色も」
 ふふっとなんてことなく受け流すティティにわたしは「ありがとう」とお礼を言う。

「炎の属性みたいで嬉しいですぅ」
「一応一番得意な魔法は炎系ね」

 今は魔法は使っていないけど。
 というかわたしが使わなくてもドルムントやティティがちゃちゃっと何でもやってくれちゃうし。

「あら、ますます嬉しいっ!」
 きゃーんっと彼女はくるくると回りだす。

「そうだ。今日は人の間で流行っているパック? というものを入手したんです。肌荒れにいいそうなんですよ。湯あみの時に使いましょう」

 機嫌のよい声でティティが提案してくれた。
 ティティの最近のブームは人間の女性の間で流行っている美容グッツ関連の情報を仕入れることらしい。人間のお世話をレイアからお願いされて張り切っているらしい。

「へえ、それはちょっと楽しみ」
「人間のお嬢さんは日の光を浴びすぎることを気にされるってグレゴルン著 女性の生活・思考編に書いてありましたぁ」

 だからそのグレゴルンって何者?
 わたしの部屋には浴室もくっついていて、最近の楽しみは夜の入浴の時間だったりする。
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