悪役令嬢リーゼロッテ・ベルヘウムは死亡しました
「むぅ。違うもん。レイルとリジーのためだもん」
 と、今度はファーナ。
「どういう意味よ」
 わたしが眉根を寄せると、なぜだかファーナの後ろでドルムントがあたふた慌てだす。

「レイルとリジーを二人きりにさせてあげるのも優しさですって、ドルムントが言うからー」
「言うからー」
 子供はこういうとき空気を読まない。

「ちょっと! ドルムント、変な気ぃ使わないでよ」
 わたしはとりあえずドルムントを怒鳴ることにした。
「うわわ。ごめんなさい! ちょっと気を使ってみたつもりなんですぅ~」
 気の弱いドルムントは涙目になった。

「あ、そうだ。リジーにお土産もってきたよ」

 フェイルは嬉しそうに……マンドラゴラを差し出した。
 うん。そのネタ引っ張るのやめようか。
 わたしが頬を引きつらせると、レイルがわたしとマンドラゴラを交互に見やった。

「リジー、そういえばどうしてこんなもん集めてんだ?」
「リジーは最近草集めるのが好きなんだよねー」

 ねー、とファーナとフェイルが二人同時に言った。

「こっちにも色々とあるのよ」
 主に独り立ちの準備とか。貯金のためとか。
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