Dying music〜音楽を染め上げろ〜








「あー美味しかった!」

「涼食いすぎなんだよ。太るぞ。」




今日は3人で学校帰りにファミレスで夕飯を食べていた。今は駅に向かっている最中。




あれから何度も保健室に行って勧誘した。恭弥は途中から面倒くさがって来なくなった。



何回言っても返ってくる言葉は「入らない。」「興味ない。」「ウザイ。」


前回なんかついに「もう来んじゃねぇ。」ってマジトーンで吐き捨てられた。








「え。」




急に怜斗がピタっと足を止めた。



「どうした?」

「あれ。」

 

そう言って指差したのは


「あれ!如月くん!俺が前見たギターケースと一緒!」



よくよく顔も見てみる。

間違いない,如月くんだ。






「行こう。」

「は⁈マジで言ってんの⁈そっち南口だよ⁈」



恭弥が焦って止める。




「いいから!」




涼は追いかけ始めた。






南口にでた。人通りが多い通りの両端には居酒屋,バー,おまけにキャバクラ。夜とは思えない明るさに目がちかちかする。



プラカードを持ったキャッチを断りながら如月くんを追いかける。





どこ行くんだ…




2、3分後,如月くんは大通りを外れ,狭い路地に入った。





せっま…





幅1メートルほどの路地を進んでいく。

少し歩いたところでふっと如月くんが消えた。







「こっち左行った。」


恭弥の言った方向に行く。だがー







「は?嘘。」








「行き止まり⁈」




嘘だろ。確かにここに入ったぞ?でも見えるのはただの廃材とゴミ箱。道なんてない。









ーん?








「あーあ見失った。もう帰ろうぜ、涼。」

「待て、これもしかすると」




涼はガラッと廃材を3.4本どけた。




おい、マジかよ。







「やっぱりな。これフェイクだ。」








「そうか、死角になってて分かんないんだ!おもしれぇ!」



怜斗が興奮した様子で言う。




「行こう。」








路地を数歩進み出した時だ。








ドッッッッ‼︎





「⁈…うっ…!」






涼の背中に痛みが走った。





足が振りかぶってくる。





ーやられる。












……?






その時、動作が止まった。

その人物はゆっくりと蹴りかけていた脚を下ろした。恐る恐る目を開けるとー






アッシュカラーの茶髪,切れ長の目,そして大きいギターケース。







「如月…くん…???」









< 28 / 154 >

この作品をシェア

pagetop