泣きたい訳じゃない。
お昼になって、真美さんのご両親も来られると、私達は葵ちゃんの誕生日会を始めて、穏やかで楽しい時間を過ごした。

兄も流石に真美さんのご両親の前では、私のプライベートを探ることはない。

夕方、葵ちゃんが眠ってしまったのをきっかけに、お誕生日会はお開きになり、私は帰りを急いだ。

何時でもいいと言ってくれたけど、私は早く拓海の顔が見たかった。

家族の幸せな時間を感じたこと、真美さんの妹の遠距離の話が私を駆り立てている気がする。

いつか、私もあんな風に幸せな家族を持てってみたい。その相手が拓海ならいいのに。

でも、それがいつになるのか。

真美さんの妹さんは、「よく泣いていた。」と言っていた。

拓海が「笑ってて欲しい。」と言えば、私は無理にでも笑っている。
泣かないけど、泣きたい訳でもないけど、私は泣きたい気持ちに共感する。

今の寂しさとこれからへの不安、泣きたいのを我慢したら、その先に私の幸せは待っているんだろうか。

誰にも答えなんて分からない。
結局、平気な振りをしてるだけなのだから。
< 24 / 70 >

この作品をシェア

pagetop