訳アリなの、ごめんなさい
カツンカツンと足音が響く。
突き当たりに立つ看守に礼を言って、看守室に向かう。


目的の者は机に向かって仕事をしていた。

「どうした?」

不思議そうに見上げた彼は士官学校時代の同期で、先の戦争で脚を怪我して騎士を続けられなくなりこちらに勤めている。

「頼みがあるんだ、例の男と取引をして少し有益な情報を得たんだ。」

「へぇ、見返りは?」

眉を寄せた彼は少し心配そうにこちらを見上げた。

大丈夫だ!と笑う。

「温かいスープだ。あと毛布も欲しいだろうな。後から侍女に届けさせるから、間違いなく渡してほしい」

「それはまた、、ずいぶんとささやかな望みだな」

呆れたような、でも少し安堵したような友人の呟きに彼の肩を叩く。


「頼んでいいか?」



「お前の頼みだからな仕方ねぇな」
肩を竦めた彼はそう言って請け負ってくれた。


そのまま厨房に顔を出して
顔見知りの侍女にスープと毛布の手配を頼んだ。









全ての段取りを整えて、アリシアの部屋へ向かった。




部屋についてすぐに彼女を抱きしめると。彼女は「外にいたの?身体がすごく冷たいわ?」と心配そうに見上げてきた。

「少し外に出ていただけだから、大丈夫だよ。」

そう言うと彼女はリラに熱いお茶を頼んでくれた。


起き上がっている時間が増えた彼女はこのところ顔色も随分と良くなってきた。数日後には首の傷に充てるガーゼも取れるらしい。

手を伸ばして、彼女の頬に触れる。


「ずっと一緒にいる」

「?、休憩そんなに長いの?」

首を傾けた彼女の言葉に苦笑する。

「仕事、行きたくないなぁ」

「随分とご迷惑をおかけしたんだから、きちんと働かないと、、、」

嗜めるように言われて肩をすくめる。

「君のためにがんばるよ」

「そこは殿下のためにって言うところよ」

呆れたように笑う妻の額に口付けをする。


「妻に勝てないのは殿下が一番よく分かっているから大丈夫だよ」
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