燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
「僕は最初、必死になってるつばめちゃんを見て『滑稽だなぁ』って思ってた。『医者でもない人間に、人を助けられるはずがない』って本気で思ってた」
「ひどーい」
「僕は、もともとひどい人間なんだよ。でも、つばめちゃんは結局、そういう病院にしていった。彼女がいるから、って外国籍の患者さんの問い合わせも増えた」
「うん」
「気づいたら、いつの間にか僕がつばめちゃんを見てることが増えた。『あ、これ、もしかして、僕がつばめちゃんを好きになってる?』ってことに気づいたんだ。ある意味初恋だね」
「拓海も初恋があたしだったんだね」
あたしが言うと、拓海は嬉しそうに笑った。
「ふふ、そうだね。それまで誰かを好きだとかそういう気持ちはなかったから。あまりに必死な彼女の力になりたいって思い出してて……あの病院は彼女一人が背負うにはあまりにも重すぎる荷物だから」
「なら、すぐに猛プッシュすればよかったのに」
「正直さ、たくさんの人の死に触れすぎて……そういうの、大事な人ができるのが、僕はちょっと怖かったんだ」
拓海は視線を落とす。
拓海が、人の死に触れすぎて、誰かを愛することが少し怖いって気持ち、わかりたいけど、私にはやっぱりよくわからない。
「そういうものなのかな」
「ま、結局そういう気持ちも突き破るくらい好きになってたんだけどね」