燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
14章:あたしの気持ち(B side)

 深夜、あたしが『拓海と写真撮りたいなぁ』ってつぶやいたら、拓海は笑って頷く。
 そして浴衣を整え、あたしを後ろから抱きしめて、スマホで写真を撮ってくれた。

 あたしはそのまま拓海を振り返り、

「これ、どうやって印刷するの?」
「ん? そうだなぁ。コンビニとかでもできるみたいだけど、みんなスマホに入れっぱなしのことが多いかな。……そういえば、つばめのスマホ、渡しておかないといけないね」

 そう言われてあたしは拓海を見る。


 少なくとも中学生のあたしは、スマホではなかった。
 スマホ自体はもう発売されていたけど、当時、中学生が持つようなものではなかったのだ。


「あたし、スマホ持ってたの?」
「当たり前でしょ」

 拓海は言う。「でも、今までのつばめが使ってたものだから、どうかなぁって思ってたんだ」


「そっか」
「でも、あった方が便利だもんね。帰ったら渡す。あとそれにこの写真送るからね」
「やった! じゃ、写真、待ち受けにする」

 あたしがそう言うと、拓海も、僕もそうする、と笑った。
 にい、とあたしは口端を上げて拓海を見る。

「あたしたちバカップルだね」
「いいんじゃない」

< 206 / 350 >

この作品をシェア

pagetop