燕雀安んぞ天馬の志を知らんや。~天才外科医の純愛~
私が椅子に座って息を吐き天馬先生を見ると、天馬先生も同じように私を見ていて、嬉しそうに笑う。
こういう言葉のない、でも通じ合ってる一瞬が私は大好きだった。
その時ふと、目の前に木の上に猫がいることに気づく。
もしかして降りられなくなったのだろうか……。
「ねこ……」
私は思わずまた立ち上がっていた。
先生は、
「僕が捕まえて下ろすから。つばめは待ってて」
そう言うと、自分は木の方へ向かった。
天馬先生が幹の分かれ目に足をかけて手を伸ばすと、猫は分かっていたようにそれを横目で見ながら動き出す。捕まえられるかな、と思っていたら、猫は天馬先生をすり抜けて自力で木から降りてしまった。
私は思わず苦笑する。猫の方が身軽だよなぁ……
そんなことを思って天馬先生を見る。
すると、恥ずかしそうに笑った天馬先生と目が合った。