生贄になる予定が魔界の王子に頭突きを食らわせてしまいました
「だから僕たちは神の花嫁なんてものを要求したことはないですし、生贄を捧げられたところでこの国にはなんの利益にもなりません。そもそもそちらの世界とは正式な交流がありませんから。どうやらユーンブルグの上層部の人間たちは、魔界の住人を悪と定めていた方が都合が良いようなので」
「確かに……国民は生活に不満が有ってもその不満を王にはぶつけず、神殿に祈りを捧げていたわ。自分たちの状況が苦しいのは信仰が足りず魔に誘惑される弱い心が原因だって……」
「でしょう? まぁ青い月の晩以外はそちらからの干渉は無いのであまり気にしていませんが」
「じゃあ花嫁を捧げると国が繁栄すると言うのは完全な迷信なの……?」
「そうですね」
神との婚礼の儀は、なんの意味もなさない茶番だった。
その事実に堪らず声が震える。
「でも、そうしたら、今までの花嫁たちは何のために命を……っ」
テーブルの上で強く握りしめたアリシアのこぶしに、クライヴェルの白い手がそっと重なる。
「最初に毒を飲まされた花嫁の命を救えずに、申し訳ありませんでした」
「っ、ごめんなさい。あなたのせいじゃないのに」
「いえ、当時の王族が判断を誤ったのは確かですから」
悲しげに目を伏せる目の前の魔族は、無表情にアリシアを拘束した神官たちよりもよほど心が有るように思えた。
「ですが、それ以降の花嫁は魔界で無事に保護していますので安心してください。人間界に帰ることを望まれた花嫁は、ユーンブルグ以外の国に送り届けて無事にその天寿を全うされていることを確認しています」
「え?」
潤んだアリシアの目を見つめながら優しい声で魔界の王子はこう続ける。
「我が国は青い月の晩以外には積極的にこちらから人間界に介入はしませんが、それでも一度この国に足を踏み入れ助けを求めた存在を決して見捨てません。こちらにお連れした花嫁には魔界での保護か人間界への帰郷かを選んでいただき、可能な限り希望に沿うよう対応しています」
「確かに……国民は生活に不満が有ってもその不満を王にはぶつけず、神殿に祈りを捧げていたわ。自分たちの状況が苦しいのは信仰が足りず魔に誘惑される弱い心が原因だって……」
「でしょう? まぁ青い月の晩以外はそちらからの干渉は無いのであまり気にしていませんが」
「じゃあ花嫁を捧げると国が繁栄すると言うのは完全な迷信なの……?」
「そうですね」
神との婚礼の儀は、なんの意味もなさない茶番だった。
その事実に堪らず声が震える。
「でも、そうしたら、今までの花嫁たちは何のために命を……っ」
テーブルの上で強く握りしめたアリシアのこぶしに、クライヴェルの白い手がそっと重なる。
「最初に毒を飲まされた花嫁の命を救えずに、申し訳ありませんでした」
「っ、ごめんなさい。あなたのせいじゃないのに」
「いえ、当時の王族が判断を誤ったのは確かですから」
悲しげに目を伏せる目の前の魔族は、無表情にアリシアを拘束した神官たちよりもよほど心が有るように思えた。
「ですが、それ以降の花嫁は魔界で無事に保護していますので安心してください。人間界に帰ることを望まれた花嫁は、ユーンブルグ以外の国に送り届けて無事にその天寿を全うされていることを確認しています」
「え?」
潤んだアリシアの目を見つめながら優しい声で魔界の王子はこう続ける。
「我が国は青い月の晩以外には積極的にこちらから人間界に介入はしませんが、それでも一度この国に足を踏み入れ助けを求めた存在を決して見捨てません。こちらにお連れした花嫁には魔界での保護か人間界への帰郷かを選んでいただき、可能な限り希望に沿うよう対応しています」