生贄になる予定が魔界の王子に頭突きを食らわせてしまいました

「おめでとうございます巫女アリシア。貴女は三日後の晩に神の花嫁となることが決まりました」

 何がおめでとうございます。だ。
 何が神の花嫁だ。
 そんなもの、ただの生贄ではないか。

 そう目の前にいる老人を罵ろうとしたのに、喉が引き攣って上手く声が出てこない。

 紫の瞳を怒りに染め上げ唇を震わせるアリシアの両腕を無表情な神官たちが拘束する。

 縛めを解こうともがきながらも射殺さんばかりに睨みつけてくる少女の姿を、老人……この国の大神官は慈愛に満ちたまなざしで見つめていた――。

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