縁は異なもの味なもの
健太郎の詫び
健太郎と樹もお見舞いで病院へ向かう。

中川のご両親へ挨拶し、容態を聞きガラス越しに中川くんへ手を振る。

中川くんもにこやかに頭を下げていた。

中川父
「社長さん、あの通り元気です。
先程も、井上主任や立川さんと井上主任のご両親までもお見舞いにいらして下さったんですよ。
ありがとうございます。」

「いえいえ、井上の方でも感謝してましたし、庇って刺された事を申し訳ないと思ってます。
中川くんが1日も早く完治する事を願ってます。」

「はい。ありがとうございます。
あさってからは一般病棟に移動しますし、お医者さんの話だと、若いから治りも早いだろうし1か月くらいで退院できるかもとおっしゃってました。」

「そうですか。安心しました…」

「はい。職場の方々にはご迷惑おかけしますが、宜しくお願いします。」

「いえいえ、職場の方は何とでもなりますからご安心下さい。
一般病棟になってから、またお見舞いに伺いますので、今日はこれで失礼します。」

健太郎と樹は、中川くんのご両親にお辞儀をして病院をあとにした。

樹は会社へ。
健太郎は学と香代子にお詫びをする為に自宅へ。
自宅へ戻った健太郎。

「ただいま。」

「おかえりなさい。学さん達とお昼ご飯を食べ終えたところで、みんなリビングにいるわ。」

「話が終わったら、俺も昼食べてから会社へ戻るから。」

「はい。」
リビングの扉を開けて健太郎が入ってきた。

「学、香代子。大輔と立川さんを事件に巻き込んでしまい、大変申し訳なかった。
本当にゴメン!」
健太郎は、学と香代子に深々と頭を下げた。

「健太郎。中川くんが守ってくれたおかげで大輔も真央さんも無傷だったんだ。
大丈夫だから。 な!
それより、その逆恨みの社員は逮捕されたんだろ?」

「ああ。そして朝一で役職者の緊急会議をして懲戒解雇にした。 本当にすまん。」

「わかった。 あとさ俺としても中川くんに何かしてあげたいんだけど…」

「樹の話だと、随分と大輔の事を尊敬してるみたいだから、大輔が井上不動産へ戻ったら大輔を慕って転職しそうだけどな。ハハハ。
もし中川くんから申し出があれば、
大輔の近い部署に置いてあげてよ〜ハハハ。」

「ああ。わかった。そういう社員なら井上不動産へ引っ張るか? どうだ?大輔。」

「ああ。中川は本当にイイ奴なんだよ。
もし中川が希望するなら、イイと思う。
井上不動産の設計室か?…
う〜ん大丈夫だと思うけど、やっと2年目になったばかりだからなぁ〜」

「じゃあ、中川くんの希望を聞いてからだな」

真央が感じてたように、中川くんとは長い付き合いになりそうだ。

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