捨てられママのはずが、御曹司の溺愛包囲で娶られました
誰にもみせない
まったく嫌になる。

私はカツカツとヒールを鳴らしながら、興味本位に向けられる視線に心の中で大きなため息をつく。
もちろん顔にはぴったりと笑顔を張り付けてはいるけど。
久しぶりに書類を届けに来た営業フロアの廊下を歩けば、こうなることはわかってはいたがやはり気持ちのいいものではない。

『専務って結婚したんでしょ』『振られたってことよね』そんな声が嫌でも聞こえてくる。

みんなうわさ好きなの?

そんなことを思ってももちろん口になど出すわけにはいかない。
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