僕の婚約者〜気高き戦乙女〜
しかし、何故百以上もある国の中から遠い東にある島国の姫がノーマンの婚約者として選ばれたのか?それは、白樹国が世界一の武力を持っているからである。

支配をしたりされたりを繰り返す歴史の中で、白樹国だけがどこの国からも支配を受けずに歩んできた。白樹国の姫と婚約することで、他国に侵略された際にレグルス王国を助けてもらおうというのが目的だ。

(父さんも兄さんも、自分にとって得かどうかしか考えないからな……)

ノーマンはため息を吐きたくなるのを堪える。ここにいるのは自分だけではない。自分を守ってくれる護衛や従者がいる。王族の人間が自由になれる時間などないのだ。

長旅の末、白樹国の城の広間に通されたのはいいものの、白樹国の人間は王族でも地面に座るらしく、植物で作られた床材の上にノーマンは座っている。

ノーマンはチラリと辺りを見回した。美しい四季を表した絵が施された仕切りや、白樹国の古代に使われていた文字が書かれた紙が壁から掛けられたもの、特別な紙で作られた出入り口など、ノーマンの見たことのないものばかりがこの城には詰まっている。
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