僕の婚約者〜気高き戦乙女〜

二人に見つめられ、ノーマンは頷く。そして護衛とスパイ、そしてキサラに囲まれながらパーティーホールを抜けて外へと走り出した。

「止まって！」

先頭を走っていたキサラがそう言い、全員足を止める。すると、目の前にナイフが飛んできて壁に刺さった。あのまま走り続けていたら、そう思うとノーマンはゾッとしてしまう。

「どうやら、敵はすぐ近くにいるらしいね」

キサラがそう言い、スパイが「恐らく、ノーマン様の命を狙っているのではないでしょうか？毒物事件の際も、ノーマン様のスープにだけ毒は仕込まれていましたし」と返す。

刹那、暗闇の中から何者かが凶器を手に飛び出してきた。キサラは凶器を素早く避け、相手に拳を叩き込む。

「クソッ！護衛共なら何とかできるように訓練されたのに、白樹国の姫がいるとか聞いてねぇ！！」

暗殺者がそうもがきながら言い、キサラはその目に激しい怒りを浮かべる。暗殺者を壁に叩き付け、その首に自身の手をかけて低い声で言った。

「何年も前から焦がれていた人、家族となった妻、大切な人を護るのはあたしの義務だ！この幸せを壊そうとするのなら、あたしは何者であっても容赦はしない！」