嫁入り前の懐妊契約~極上御曹司に子作りを命じられて~
(えっと、経験豊富って私の話!?)

 美琴は大慌てでぶんぶんと首を横に振る。

「とんでもない! 経験なんてまったくないです。若葉マークもいいとこなので、期待すると御堂さんがっかりします」

 少し驚いたように美琴を見て、礼はパチパチと目を瞬いた。

(しまった! この年齢でまったく経験なしなんてひかれるに決まってる。正直に言う必要なんてなかったのに私のバカ〜)

「それなら、急ぐことはない。今夜は話をするだけにしようか」

 礼はそう言うと、美琴の頬を撫でていた手をすっとひく。

(前言撤回。正直に話してよかった〜。ひかれただけかも知れないけど、とりあえず延期決定!バンザイ!)

 美琴が思わずほっと安堵のため息をもらすと、礼は少し拗ねたような目で美琴を見つめた。

「といっても、そう長くは待てない。今夜か明日かその次か……君が決めろ」
「明日か、明後日って。もうひと声で、三ヶ月後とかは?」
「それはいくらなんでも契約不履行に該当するだろう」

 美琴の希望はあっさりと却下されてしまった。美琴はう〜んと悩んだが、礼からの助け舟はない。

(今夜か、明日か、明後日。それならもういっそ!)

「わかりました。覚悟決めました。今すぐ! 今すぐでお願いします」
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