消えない傷・消えない痛み

**異変


大学院を卒業して三年が過ぎた。

伊織の情報を知ることもない。

私の中では
伊織との時間は幻か嘘であったの
ではないかと思うほどに
遠い出来事になっていた。


そんな日々の中······

毎日、やり取りをしている
暖からLINEに返信がなく
私は、落ち着かない状況に
陥った。

暖は、私のLINEには、
どんな事があろうと
返してくれていた


そんな私にを見て·····

教授は、凛さんを呼び
暖の家に二人で行くように
伝えた。

凛さんから
「大丈夫だよ。」と何度も言われながら
暖のマンションに着く
ブザーを鳴らすが
返答はない。

凛さんがドアノブをさわると
開いた。

「暖!!」
と、名前を呼びながら
凛さんと中に入ると

ソファーの上で
真っ青な顔の暖が横になっていた。

凛さんは、直ぐに救急車を呼び
私は、暖の名前を呼び続けた。

どのくらい呼んでいただろか
暖が目を少しだけ開いて
「····LINE····出来···なくて····ごめん····」
と、言った。

「バカ、自分が大変なのに。」
と、言っている間に
救急車が到着して
再び、暖は意識をなくした。

救急隊員に
「かかりつけ医がありますか?」
と、問われるが
首をふると
凛さんが
「潤天堂大学病院へ
運んでください。」
と、言った。
薬の袋があったらしい

救急隊員は、直ぐに連絡をして
受け入れが決まった。

美桜は、何が何かわからずに
大学病院へと一緒に行き
暖のお母さんへは
凛さんが調べてくれて
電話をしてくれた。

お母さんが、駆けつけた時には、
私も少し落ち着いてきていて
凛さんと二人で挨拶をした。

主治医の先生が見えて
お母さんは、先生からの説明を受けた。

凛さんには、帰ってもらい
美桜は、お母さんが戻るまで
待っていた。

お母さんは、涙をためた瞳で
戻ってきたが
美桜を見ると優しい顔で笑ってくれた。

「神崎美桜と、申します。
暖君とは、高校、大学と同じでした。
私は、医学部ではなくて
物理科なんですが。」
と、言うと
「ああ、あなたが。
伊織君と女性の友達がいると
暖にはきいていたの。
遅れてごめんなさい。
私は、暖の母、里子と言います。
それから、救急車を呼んでくれて
ありがとうございます。」
と、頭を下げられた。
「お母さん、やめて下さい。
暖からLINEの返事がないから
気になり、来ただけです。
さっき、もう一人いましたが
沢田凛さんと言って
潤天堂大学で講師をされている方です。」
と、言うと
「美桜ちゃん、遅くなるから
今日は、お帰りなさい。」
と、言われた。
「お母さん、一人で大丈夫ですか?」
と、問うと
「私も一度戻ってから
暖の着替えを取りに行ったり
するわ。」
と、言われたから
「それでしたら、暖のそばにいます。」
と、言うと
「頼んで大丈夫?
お家の方、心配されるのでは?」
と、本当に心配しながら言うお母さんに
そんな年ではないからと
「母に連絡します。」
と、笑いながら伝えると
「ごめんなさいね。
よろしくお願いします。」
と、お母さんが言うから
「お母さん、ゆっくり
戻って下さいね。」
と、言うと
お母さんは、
「それじゃ、お願いするわ
本当に、ありがとうございま。」
と、言って病院を後にした。

私は、暖のベッドの横に
椅子を置いて
暖を見ていた。

顔色は悪く
唇の色もない

いったい、暖はどこが
悪いのだろうか?
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