消えない傷・消えない痛み
十話

**ショートメール


あの日から
二、三日のペースで伊織から
ショートメールがくる。

LINEではなく。

大丈夫だよ
と、伝えたが
俺が仕出かした事だから
と、言うから
伊織の好きなようにさせた。

朝くる時は、
« 今日は、大学病院にいる。 »とか
« 今日は、甲斐にいる »とかで
夜くる時は、
« ひろは、飯食べたか? »とか
« ひろは、寝たか? »とかだ。

忙しいのだから
無理はしないで欲しいと
伝えたが⋅⋅⋅⋅⋅
これまた、問題ない。と。

凛さんに話すと笑いながら
好きなようにさせなさい
と、言う。

それに、たまに出掛けたりする。
本当に、たまにだ。

ひろがいないと
両親もお義母さんも寂しがるから。

それもあるが
ひろが伊織と会って別れるときに
泣いて大変になり
しばらく、会わないようにした。

だが、本当に
たまにしか会ってないのに
と、凛さんと不思議に思っていた。

ひろに、ショートメールの
話しはするが、ひろは字が読める
訳ではないから。
でも、先生のワードに反応するから
面白い。

半年を過ぎた時
ひろが熱を出した。

風邪でもないような
腹痛とかでもないような

幼児は、色んな病気でるからと
お義母さんに言われて
病院にも行った。
薬も服用している。

私も心配だが
母とお義母さんに頼んで
仕事へと行く。

だが、熱が下がらない。

もちろん、伊織にも知らせている。
伊織は、長引く暖大を
心配して、合わせて欲しいと
言ってきた。

だが、両親もお義母さんも
熱があるのに
と、心配するから
伊織が、実家にくることになった。

伊織は、暖の友人としか
知らないから
どうしたものかと
思っていた⋅⋅⋅⋅⋅⋅が⋅⋅⋅⋅⋅⋅

ブザーがなり
私が出ると伊織だった。
「いらっしゃい。」
「お邪魔します。ひろは?」
「熱が、38度5分。
水分はとっている
薬も服用してる」
「そうか。」
リビングの両親に挨拶をすると
母が
「あら、あなた?」
と、言われて
「はい。お通夜や葬儀では
お世話になりました。
甲斐 伊織と申します。
医師をしております。」
と、伊織が両親に話していると
熱冷まシートをおでこに貼った
暖大がやってきて
伊織を見て手を出すから
伊織が直ぐに抱き上げて
「熱があるのか?」
と、言うと
暖大は、首をふる

伊織と暖大の姿を
両親は、びっくりしながら見ていた。

だから、簡単に話すと
「「不思議ね。」」
と、言っていた。
「伊織、ご飯食べたの?」
「いや、まだ。」
と、話していると
母が、残りもので良ければと
言って用意をする。
ひろは、伊織から離れずに
母が言っても、父が呼んでも
私が言っても、伊織から離れずに
伊織は、
「このまま、頂いても?」
と、両親の許可を得て
暖大を片膝に抱いたまま
母の料理を食べる
暖大は、伊織の食べてる物を
欲しがり、伊織は一緒に食べる。
食べ終わり
「もう、いいか?」
と、伊織が暖大に訊くと
ニッコリ笑って頷いた。

水分を飲ませて
寝かせようとするが
伊織の首に抱きついて
離れないから
伊織は、
「このままで、大丈夫だ。」
と、言って
珈琲を飲んでいる。
私は、疲れているのでは
ないかと心配するが
伊織は、首をふる

そのままの状態で
熱をはかると
36度になっていて
両親と私は、えっ?となっていた。

結局、伊織は暖大が寝てから
ベッドに運び
両親に挨拶をしてから帰った。

私は車のとこまで送り
「ごめんね。疲れているのに。
だけど、ありがとう。」
「大丈夫なんだが。
俺が会わないと言ったからでは
ないかと、気になって。」
と、言う伊織に
そうかも、と思ってしまった。

伊織が帰ってから両親に
訊かれた。
< 54 / 83 >

この作品をシェア

pagetop