消えない傷・消えない痛み

**甲斐家


あの頃を思い
親父は、マリーナでは
俺を操縦できないと思っていたらしい。

俺は、マリーナもいる中で
両親に今までの全てを話した。

両親は、俺に恋人がいるのは
わかっていたが
そんな約束やそんな風に
なっていることは知らなかった。

それは、俺も話してなかったから。

母親は、荷物を持ち帰ったことを
詫びていたが·····
自分がしでかした事だから
と、言った。

美桜から言われた顔の表情についても
話した。
父も母も、驚いていたが
一度、心療内科に診察をしてみては
と、言われた。
マリーナも心配していたから
そうする事にした。

マリーナは、伊吹を育てながら
母に色々習っていた。
銀行に勤めていたからか
無駄なことはしない
そんなマリーナを見て
父もマリーナを甲斐家の嫁として
公の場にも連れて行くようになった。

心療内科の先生に診てもらったが
自然に治ると言われた。

今日は、マリーナとの結婚式
甲斐の病院関係者
大学病院関係者
友人達
マリーナの両親と友人達

美桜にも声をかけたが
自分が行かない方が良いと
言われた。

あの時の写真を額縁に入れて
送ってくれた。
マリーナは、とても喜んでいた。

不思議な事に
あれ以来、美桜を見かけることも
なくなった。

大学にいる時は
会いそうだが·····

暖からの最後の手紙には
驚かされた。

だが、暖はわかっていたんだ。

俺と美桜には、未来はないと
だけど、人を傷つけた事は
知らないといけない
お互いのわだかまりも
失くならないといけない。

現に、俺も美桜も
違う伴侶と幸せに暮らしている。
道は、繋がっていなかったが
美桜や美桜の回りの人に
何かあったら全力を尽くす
その気持ちは持っているから
と、暖に伝えた。

« ありがとう »
の、言葉と共に······
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