寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
「相手は誰?」

「公爵家の令嬢、松永さわか様でいらっしゃいます。」

そう聞いても、誰だが分からない。

「女中達皆、小花様に気を遣っています。この話は内密に。」

「分かったわ。」

ちよさんはそう言うと、また仕事に戻って行った。


はぁーっと、ため息をついて、私は自分の部屋に戻った。

窓を見ると、昨日の夜、保さんが座っていた椅子が見えた。

保さん、お見合いするんだ。

結婚しないって、言っていたのに。


そう思った途端、胸がざわつき始めた。

イライラする。

どうにもならない感情が湧きたって、私を突き動かす。


「誰よ!松永さわかって!」

こんな時、同じ公爵家の令嬢なら、顔を見た事があるのだろうか。

私だって父が貴族なのに、何も知らないなんて。

妾の家に生まれた自分が、恨めしい。

私は歩き回って、寝台の上に寝そべった。

「はぁー……」
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