寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
横になったら、涙が出て来た。

保さんを、誰にも取られたくない。

あの毎晩見る、寝息を立てて眠る横顔を、誰にも見せたくない。

私は、枕に顔を埋めて、泣きじゃくった。


その時だ。

部屋の扉を、誰かが叩く音がした。

「小花様、ちよでございます。」

私は起き上がって、涙を拭いた。

「いいわよ。中に入って。」

「はい。」

ちよさんは、部屋の中に入ると、泣いている私に少し驚いていた。

「……泣いておられたんですか?」

「何でもないわ。どうしたの?」
< 44 / 107 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop