寄り添う花のように私はあなたの側にいたい
「茶室はこちらです。」

ちよさんに連れられて、屋敷の西側に向かった。

そこには、小さな茶室があって、お父様とさわかさんの草履と、保さんの靴が並べられていた。


「失礼致します。」

私も草履を脱いで、茶室に入った。

「お招き頂いて、ありがとうございます。」

丁寧に頭を下げると、お父様がニコニコしているのが見えた。

きっと、さわかさんの機嫌を損ねないようにしたのが、よかったのだろう。

「ご機嫌よう、小花さん。今日はお会いできて、嬉しいわ。」

「……私もです。」

この人達の機嫌を損ねないのが、今の私の仕事という事ね。

「早速始めましょう。お父様。」

さわかさんは、もう結婚したつもりで、”お父様”と呼んでいる。

お父様も公爵家のご令嬢だけあって、嬉しがっている。

保さんはと……

特に無表情を決め込んでいる。

そして、さわかさんがお茶を淹れる音がした。

風もなく、その音がやけに大きく聞こえる。

さわかさんは、まずはお父様にお茶を淹れた。
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