朝戸風に、きらきら 4/4 番外編追加
近くで見上げたら、整った目鼻立ちがとてもよく分かる。
細く長い指におでこや、こめかみの辺りを擽るように何度か撫でられて、そのまま優しい手に頬を包まれた。
視線が合わさって、まるで大切なものを慈しむみたいな、そういう細まり方をしていく綺麗な瞳を見つめると、もっと距離が縮まって、唇に熱が落ちる。
音も無く離れては、また触れられる。
可愛らしい口付けが繰り返される度、なんだかちょっと、反応を面白がられている気もする。
ぎゅっと目を瞑ってただ受け入れていたけれど、ふと笑った男が鼻先にもキスを落としてくるから、咄嗟に瞼を上げた。
「…な、なんか、楽しそう。」
「そりゃ楽しいだろ。」
即答、されてしまった。
ぼ、と音が聞こえそうなくらいに急激にまた頬が赤く染まって、それも見守った男の表情がもっと柔らかく解れるから、目を離せない。
胸の奥の方がきゅう、と掴まれるこの感覚は、恋愛に関する情が故なのだとしたら、私はやっぱりとっくの昔から、この男にだけ、その気持ちを抱えていたと思う。
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私を迎えに来てくれた後。
地下鉄に乗ってちょっと大きめの商業ビルのレストランフロアで昼食を済ませた後、てっきりこのまま事務所に戻るのだと思っていたのに。
「その。」
「はい?」
「ちょっと買い物する。」
「…何か備品、切れてましたか?」
何の気無しに尋ねたら、前を歩いていた男がぴたりと長い足を止めて、溜息混じりに振り返った。
「手。」
「へ?」
急に単語だけを言われて、よく分からないまま首を傾げたら、微かに不服そうな面持ちの男が痺れを切らしたかのように私の右手を掬いとった。
「、」
驚いた顔に変わった私の反応を見ている男は、綺麗に口角を上げる。
緩く繋がれた手を引かれたら、こんなの流石にもう、上司と部下、では無い。