丸重城の人々~前編~
「今にわかるわよ!
じゃあ先に食べてようね!みんな」
「だな!俺も仕事あるし!
てか、大翔はいいの?」
と将大が、広子に問う。
「あー、いいのよ!最悪、おにぎりでも持たせるわ!」

「げせない顔」
中也の言葉。
「え?」
「なんで、柚希が特別扱いなの!って顔」
「いや…」
「特別なんだよ?姫は。
この家では」
「だから、お前も気をつけろよ?
柚希を傷つけたら、どんな理由があっても、この家にはいられない!」
「柚希ちゃんは、俺達の女神みたいなもんだからね」
「フフ…そうね!」

タタタタ………
バン━━━━!!!
「みんな、ごめんなさい!
寝坊した!」
「柚希!?」
「あ、中也くん!ごめんね、つい二度寝を…」
「いいよ!それに今日からゆっくりするんだろ?じゃあ大丈夫だよ!」
頭を撫でながら、柚希に微笑む中也。
さっきと全く、中也の表情が違う。

「姫、おはよ!」
「あ、玄さん!コーヒー淹れなきゃ!」
「いいよ!今日から自分で淹れるから!大丈夫。中也も言ってたでしょ?今日からゆっくりしてよ!」
玄が柚希の頬を数回撫でて、言う。

「おい!そこの雄二人!気安く柚に触るな!」
大翔が、柚希を腕の中に閉じ込める。

「ほんと、独占欲強いなぁ~。
大翔は!じゃあ響子、柚希ちゃん、行ってくるね!」
と響子の頬にキスをして、柚希の頭をポンポンと撫で、ダイニングを出る将大。
「行ってらっしゃい!将大。
じゃあ私はシャワー浴びて寝るわ!
柚希、おやすみ!」
響子も柚希の頭をポンポンと撫で、出ていった。

「あ、行ってらっしゃい!
響ちゃん、おやすみ!」
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