丸重城の人々~前編~
「あ…あ……」
あまりの怖さに、市子は声が出ない。
足もガクガクしている。
「言ったよな……丸重城は柚希が中心だって!
柚希を傷つけたら、どんな理由があっても丸重城にはいられないって……」
中也の重みのある声。
「正直に言って!」
「え…」
「柚希に何があったの?」
「それは……」
「言え!!」
大翔の鋭い怒鳴り声。
「ちょっと!大翔!ここ病院よ!」
「うるせー、ばばぁ。なんでこんな女連れてきたんだよ!柚を傷つける奴ばかり……なんで!」

「君、早く教えて?俺達みんな、怒りを止めるのに必死でさ、余裕ないんだよ……だから、言ってよ?正直に」
あくまでも、冷静だが静かな怒りがこもった声の玄。
「コイツが関係する?」
「え……晴、生?」
かなり傷つけられた、晴生が首のつけねを将大に掴まれ、みんなの元に連れてこられた。
「お前が…柚を…」
「柚希を……」
「姫を傷つけた男………」

「待った!外に出よう!」
「あぁ」
「あと、市子ちゃんもね!」
「あ…」
「行きなさいよ……それともここで、私が、殺ろうか?」
「ほら、おいで?響子もヤバい女だよ!」
「は、はい」
「広子さん、響子。後で電話するね!」
「えぇ」
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