丸重城の人々~前編~
「さぁ、どうしたい?」
そこにいる、大翔、中也、玄、将大は悪魔のようだった。
その四人の目線を正面から受けている、晴生。
どれ程の恐ろしさだろう。
少し横で、市子が見ている。
「市子ちゃん」
「はい」
「全部、話して?嘘はなしね?」
将大の口調は優しいが、声に恐ろしい怖さがある。
市子は、覚悟を決めた。

「実は━━━━━━」

「お前…俺に復讐する為に、柚を?」
「柚希には関係ねぇじゃん!」
「だね……情けないね、お前。翔に正面からいけないから、姫をつかったんだね……」
「許せないね……柚希ちゃんをそんなチンケな理由で傷つけて…」

「しかも……離婚だと…。
ふざけるなよ……俺から柚を放そうとするとか、死にたいのかよ?」
「もういいじゃん!殺ろうよ!兄貴。顔見るだけで、吐き気する」
「だね!地獄行きだ!姫を傷つけた罰だね……」
「市子ちゃん、瞬きしないで見ててね!地獄を今から見せるから。そして、その後は君も地獄行きだよ?」
将大の声を最後に、市子は地獄を見る。
無抵抗の晴生を殴る、蹴る。
失神しかけると、バケツの水を浴び、また殴る、蹴るの繰り返し。それを、三人から交代で受けている晴生。
ただこの三人、相手を絶対に死なせない。
絶妙な力加減でそれをするのだ。

これが、毒蜘蛛のやり方。

「市子ちゃん、お待たせ!」
「コイツ等と遊んでおいで?」
そして市子は、将大の部下数人に連れて行かれた。
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