丸重城の人々~前編~
「あの…」
ホステスの一人が口を挟む。
「あ?なんだよ?」
「え?君達、まだいたの?」
「え?」
「え?って、わかんない?お前等邪魔だって!」
中也が見下すように言う。
「バカなんじゃねぇの?」
大翔も容赦ない。
「それでよく、ホステスやってられるね?不思議だ」
「辞めた方がいいんじゃねぇの…?そんなんで、客を癒せねぇだろ?」
「ねぇ響子。クビにしたら?コイツ等」
「ちょっと!何言うのよ?この子達、売り上げいいのよ?」
「はぁ?じゃあ客がチョロいんだな!よかったな、チョロい客で」
「響子。俺がもっとレベルが高い女紹介しようか?」
と、中也が言う。

大翔と中也はいつもこんな感じで、柚希を傷つける人間を、攻撃し排除しようとするのだ。

「え?なんで私達が、ここまで言われなきゃいけないの?」
「わからねぇの?ほんとに」
「………」
「だから!コイツ等バカだから、わかんねぇんだよ!中也」
「みたいだな」

「バカ、バカって言わないで!」
「そうよ、いくらなんでも酷い!」
「酷くて結構。お前等にどう思われても、俺等はなんともない」
と中也。
「俺は柚に愛されてれば、それで十分だ」
大翔も言う。

「わかったら、早く消えろ!」
「………」
ホステス一行は、ふてくされたように去っていった。
< 51 / 162 >

この作品をシェア

pagetop