丸重城の人々~前編~
大翔の狂愛
それから家に帰りつき、柚希と広子に全て話した。
柚希は【そう…】とだけ言い、何も言わなかった。

「私は大丈夫だよ。みんながいてくれたら…」
「柚。またデザインするから、ドレス作ろうな…!」
「俺もデザインしたい!」
「フフ…じゃあみんなでデザインする?」
「いいわね!」

「フフ…ほんと仲いい四人ね!」
「うん!私、みんな大好きだから!」
「私も!」
「俺もー!」
「俺は愛してる!」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
そして柚希は広子と買い物に来ている。
「広子さん、確かトイレットペーパーなかったですよね?」
「あ、そうね!忘れてたわ!」
「取って来ますね!」
「え?柚希ちゃん一人で平気?」
「はい!すぐそこなので。広子さんここにいて下さい!」
「わかった。ここにいるからね」

「えーと…確かタブルじゃないとダメだったよね!」
トイレットペーパーを抱え、広子のとこに戻る。

ドン━━━!!
「あ、すいません!」
「ごめんなさい…」
「あれ?姫だ!」
「あ、玄(くろ)さん?」
玄も、元大翔の暴走族の幹部だ。
大翔と中也が抜けたあと、頭をしていた男だ。

「え?一人で買い物?大丈夫なの?」
「いえ、付き添いです」
「そっか」
「柚希ちゃん!?」
「あ、広子さん!」
「ちょっとあなた、この子に何か?」
「広子さん!大丈夫ですよ。大翔達の仲間の方です」
「はい、玄って言います」
「そう…だったらよかった!びっくりしたわ…」
「ごめんなさい…広子さん。心配かけて」
「じゃあ帰りましょ!ちょっと買いすぎたし!」
「そうですね。じゃあ玄さん、また」

「あの、お手伝いしましょうか?持って帰るの、大変そうだし」
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