丸重城の人々~前編~
「ありがとね、玄さん。助かったわ!
今日は中也もいないから、荷物持ちいなくて大変だったの」
「いえ。この位全然…!」
結局、玄がほとんど荷物を持ってくれた。
「ありがとうございました。玄さん」
フワッと笑う、柚希。
その綺麗な笑顔に玄も、自然と笑顔になる。
「綺麗になったね…!姫」
「え?」
「あの二人がいなかったら、俺が口説いてたな…」
「あの…」
「フフ…なんてね……(笑)」
「え…?からかったんですか?酷い////」
「フフ…ホストですから!」
「あー。営業スマイルだ!」
玄はクラブ経営をしていて、更にNo.1ホストだ。
響子とは仕事上、時々会ったりしていたので、柚希もそのつてがあり、比較的普通に話せる相手だ。

「ただいま。
あれ?玄じゃん!」
「中也、お邪魔ぁ」
「久しぶりー」
「あぁ」
「今日、玄さんも一緒に夜ご飯食べよって話してたの」
「荷物持ちしてくれたお礼よ!」
柚希と広子が言う。
「そっか…兄貴はなんて?」
「え?大翔?まだ言ってないよ!」
「そう…事前に言っておいた方がいいぜ!柚希」
「どうして?」
「ん?どうしても!」
「フフ…警戒してんだろ?翔は俺を」
「まぁな。俺もだけど!」
「え?なんの話?」
「俺が姫を気にいってるから」
「え?え?」

「フフ…」
「あ////またからかったんですか!?」
「可愛いなぁ、姫は」
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