丸重城の人々~前編~
「ただいま」
利奈が帰りつき、キッチンへ向かうと、
「ちょ……大翔…やめて…!料理しにくいよ……」
「やだね…今癒され中なの……!」
大翔が柚希に後ろからぴったりくっつき、頬やこめかみの辺りをキス責めしていた。

「んーー。柚~!好きぃ~」
「もうやだ…離れてよ////」
「フフ…可愛い///柚」
仕事中や普段では見れない、柚希への態度に言い様のない嫉妬を覚えた利奈だった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「最初からオーナーはあんな感じなんですか?」
何気なく、響子に聞いてみた利奈。

「え?そうねー。大や中は一目惚れだからね!柚希に。
あの大が必死に口説いてたのは、ちょっと笑ったわ(笑)!」
「そうなんですね…。私ここに来てびっくりしたんです。オーナーいつもはちょっと怖いと言うか、厳しい人だったから。あんな甘い顔、見たことなかったので」
「あー。そうね。柚希に出逢うまで、喧嘩や族を大きくすること位しか興味なかったもんね。大って、追いかけられることはあっても、追いかけることはなかったからね!
あ、中もか!」

「柚希さんはモテモテなんですね。確かに可愛いなって思いますけど、でも…正直響子さんの方が、綺麗……」
「は?」
「いや、変な意味じゃなくて……」
「あーそれはよく言われるかな。でも柚希って、なんかほっとけないのよね…!純粋で、心が綺麗だから。守ってあげたくなる」
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