森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 ロキースだけなんてとんでもない。

 ヴィリニュスの鍵を失ったのは、ヴィリニュス家の失態なのだ。部外者であるロキースに頼るなんて、筋違いである。

(そんなこと言ったら、傷つけちゃうだろうな……ロキースは僕と、その……恋人になりたいのだろうし)

 当然のように頷いたエディに、ロキースは「やはりな」と苦く笑みながら彼女の頭を撫でた。

 本音を言えば、エディを連れて行きたくはない。

 移動速度を考えれば、鍵を持っているのは明らかに魔獣である。

 ロキースの読み通りならば、それは魔狼。
 熊ほどではないが、力が強い魔獣だ。

 エディの弓の腕を信じていないわけではない。彼女の技術は素晴らしいものだ。他の追随を許さないほどに。
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