森守の令嬢はもふもふ大型獣人に執愛される
 まるで、お伽噺のようだ。

 人に恋をした魔獣が、恋を実らせるために獣人になるなんて。

 その上、恋が実らなければ消滅する、なんてオチまでついている。

(命がけの恋って……僕が本当にリディアの恋人だったら、チャンスなんてあげたくないと言うと思うよ。だって、リディアはそういうお涙ちょうだいモノが大好きなんだから)

 案の定、エディの偽りの恋人は目を潤ませて切なげにルーシスを見上げている。

(ほら、感極まっている……)

 一体いつまで、恋人のフリ(茶番)を続ければ良いのだろうか。

 リディア()の許しなく暴露することは後々ネチネチ言われそうだし、ロスティを騙したことによる処罰も怖すぎる。

(早く終わってくれ〜〜)

 延々と続くジョージの説得が無駄であると言い出すことも出来ず、最終的には渋々獣人にチャンスを与える優しい少年を演じて、この一件に幕を下ろしたのだった。
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