溺愛砂漠 ~デザートローズ~
最後は何度か啄んでから離れると、熱の名残りで潤んだ黒い眸とぶつかる。

「・・・廉、なんでこんな風にあたしを連れてきたの?」

会社帰りのデートだったはずなのに、どうして眠らされたうえ縛ってベッドに転がされてたか?犯人が僕だってちゃんと分かったね。

「美樹の逃げ道を塞いであげるため・・・かな」

不安。心細さ。君が揺れてる。追い詰められてく。完全に退路を絶って逃がさない。君は僕のもの。さあ最後の仕上げ。

「あとちょっとだけ僕の話に付き合ってくれたら解くよ」

頬を撫で、優しく微笑みかければ安堵の色を滲ませて微かに頷きが返る。

「ウチってね、家族の繋がりがすごく強いんだ。・・・今の水上(みかみ)組は父さんと、父さんの従兄妹のダンナさんが築いたんだけど、子供の頃からとにかく何でも二家族が一緒なんだよ」

僕は静かに話し出した。
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