溺愛砂漠 ~デザートローズ~
君の父親が(じか)に関わってた証拠はないよ。父さんから聞いた話でしか僕は知らない。

だけど。跡目を継ぐはずの弟と違って堅気(フツウ)の人生を送ってきた君でも、誰が恋人の身内殺しを容認できる立場にあったかは理解できる。きっと今、優しい美樹の心は綺麗な血を流しながら引き裂かれてるんだろうね。

僕が復讐のために近付いたと思ってる?
僕と出会ったのは天罰だとでも?

言ったはずだね、僕はそんなロマンティストじゃないって。

「黙ってる選択肢もあったよ、もう過ぎたことだって言えるくらいの割り切りもできてる」

「・・・・・・廉・・・。あたし、は」

目尻から溢れ落ちそうな雫を優しく指の腹で掬い取った。

「償ってほしいなんて一ミリも思ってやしないよ。ただ別け合いたかったんだ美樹に、僕を残らず」
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