はじめてのカレカノ
三度目の出会い

翌朝、いつもより15分早く家を出た私は駅のロータリーに来ていた。

朝の駅は混雑しているから人の流れの邪魔にならないように気を付けながら、昨日転んでしまった場所へ向かう。

昨夜はイルミネーションのようにピカピカしていた工事中の注意喚起用の電球たちは光るのをやめて、眠っているように見える。

まだ工事作業の人たちはいない。

私が蹴飛ばしてしまった三角コーンは元の定位置に戻っており、何事もなかったように立っていた。

確かこの辺りで転んだんだよね、どこだろう?

見つからない。

茶色の栞だからアスファルトを掘り返しているそこに落ちてしまっていたら色が同化してしまって見つけるのが困難だ。
< 21 / 312 >

この作品をシェア

pagetop