平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
リズは、ジェドがわざとそっけなく訊き返しているのだと分かって、みんなと同じく引き続き黙って見ていた。

「帰るって言ってたけど、俺も『帰る』なの?」

「それはそうだろう。お前も、今日から獣騎士団の一員だ。俺たち獣騎士も、戦闘獣も、一緒に暮らす家族みたいなもんだ」

王国軍の部隊でありながら、共に支え合っている仲間。

十五歳の彼にも分かりやすいよう伝えたジェドの言葉からは、普段の彼の獣騎士団への思いが分かるようだった。

リズは『家族』という言い方に胸が温かな気持ちに溢れた。

トナーたちが、照れ隠しみたいにはにかんでいる。彼をジェドから知るコーマックは、ただ穏やかな横顔を見せていた。

「お前は、数少ない選ばれた獣騎士だ。才能もある。動物まで愛する気持ちがあるから、グレインベルトも肌に合うだろう」

「……動物、いっぱいいるの?」

「大自然に囲まれているからな。お前は、きっといい獣騎士になるよ」

ジェドがこんなに言葉で褒めるのも少ない。

彼なりに励ましているんだろう。その見とれてしまう気真面目な顔を、リズは肩越しに盗み見て思った。

シモンが、ややあってから口を開く。

「――そ、っかぁ。そこが、俺の居場所なんだ」

ごにょごにょと口にした彼は、子供っぽい表情で頬もほんのり染まっていた。恥ずかしくなるくらいうれしいみたいだ。

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