平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
リズは、シモンが『自分なんて』と言わなくなったことに喜びを覚えた。

やっはり団長様は、すごい人だ。

「ふふっ。獣騎士団には、白獣の子もいるのよ」

「マジで? 大人がこれだったら、子供って絶対めっちゃもふもふじゃん! いてっ」

「リズちゃんが先輩になるんだから、タメ口はやめろよな」

そばから、相棒獣をひられと寄せてトナーが軽く拳骨を見舞った。コーマックは荷が笑いを浮かべつつも有り難そうだ。

ふと、シモンがハタとジェドを見た。

「待ってよ。でもさ、俺の罪は」

「お前は、獣騎士団で刑罰も含めて全て引き取る。おかげでこれから少し俺は忙しくなる。当面、賠償金分はタダ働きだ」

ふんっと答えたジェドの横顔に、シモンが目を丸くする。

リズは、最後の心残りまで全て払われた気がした。救われた気持ちで、つい赤紫色(グレープガーネット)の瞳を濡らして背中を彼にぼすんっと押し当てる。

「団長様っ」

「頼むから、そんな露骨な目を向けるな」

そんな中、獣騎士たちが満面の笑顔で野次を飛ばし始めた。

「タダ働きって、団長鬼だ!」

「さすが獣騎士団一の鬼上司! ひっでぇ!」

途端、シモンが腹を抱えて笑い出した。

「あっははは! 『タダ働き』か、いいじゃん! 屋根付きの寝床があって、三食付いていて、……全然軽い罰じゃんか」

< 184 / 192 >

この作品をシェア

pagetop