平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
《ふふっ。でも、それを良かったと思っているのですね》

《そうだな。そうでなければ、俺は出会えなかった》 

ぱったん、とカルロの尻尾が優雅に揺れる。

彼女の優しい目が、同じく彼が見つめる先にあった、グレイソン一族の団欒へと向けられた。

《あなたは、何も変わりませんね。若く、凛々しいままで》

その言葉に、カルロは応えなかった。

《わたくしは、あっという間に、あなたよりも〝年上〟になってしまいましたわ》

二頭の間に、大窓から吹き込んだ風が心地よく流れていく。

カルロは、運ばれる風をしばらく眺めた。子だった彼女を思い出していた。よちよち歩きだった幼い獣だった――。

《お前が、戦闘獣になっているとは思わなかった。他の子らが爪を立てても、小さくなっている幼子だった》

《ふふっ。わたくしだって母になりましたから。だから強くなったんです》

ふと、会話が途切れる。

カルロは視線を横に流し向けた。穏やかに微笑した彼女の横顔は、思い返す表情でもあった。

当時の子の中で、存命しているのは恐らく彼女だけだろう。

白獣は、たとえ兄弟であったとしても魔力量や強さが違っている。潜在能力だけでなく〝寿命〟にも差があるから。

《お前の子らは、無事大人になった》

カルロは、ふんっと前足に顎を乗っけた。

《ええ。ええ、知っております》

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