平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
そして恐らくは、この母よりも長く生きていないことも、知っている。

彼女は獣の言葉で呟くと、疲れた様子でくつろぐ姿勢を少しだけ変えた。丸め直された尻尾がふさっと掠ったが、カルロは不満を言わなかった。

《ねぇ、あなた様》

彼女が、優しい声で呼ぶ。

《もう一度、あの頃みたいに、お話してくださいませ。あの不器用な寝付かせの、冒険談を聞きたいのですわ》

むぅ、とカルロは尻尾をぱったんぱったんとして考える。

もう子供ではないのにと言いたげだった。

でも老い先が短いのでもう一度、と言っているのも分かって悩んでいるのを、彼女は知っていた。

《わたくし、年を取る分だけお喋りになりましたの。滞在されている間、どうぞよろしくお願い致しますわね》

くすくす笑う先代相棒獣に、カルロは参ったと思って不貞寝を決めた。

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