平凡な私の獣騎士団もふもふライフ3
だが、その当人は新聞をチェックする余裕がなかった。寮から出たところで、自分宛てに手紙が来ていると渡される。

「ひぇっ」

リズは、その送り主名を見て飛び上がった。

【ヴィクトル&アリスティア・グレイソン】

それは、獣騎士団長であるジェドの両親からの手紙だった。

先日、リズは任務で王都へと行った。その際『ジェドと婚約予定の恋人である』という任務も兼任したのだ。

ジェドに恋人ができたことを、彼らはとても喜んでくれていた。

それは国王陛下や、王都にいた人たちもそうだった。

任務でもバタバタしていて、忙しくてタイミングを忘れていたこともある。引き続き誤解されていることにリズは悩んでいた。

「リズちゃん、今さっき郵便屋さんが来てなかったっけ――て、あ~……」

顔を出した獣騎士が、察した表情で言葉を切る。

どれどれと、相棒獣の散歩中だったトナーが、通りすがら立ち寄って一緒にリズの手元を覗き込んだ。

「うわぁ……これ、前獣騎士団長からか」

「はい……。この前話したことです」

「つまり中身の内容は――アレか」

トナーたちが、ピンときた凛々しい表情をする。

引き続き誤解されている関係。嫁入りをとても楽しみにしてくれていて、今度またいらっしゃいと熱烈に言った前グレイソン伯爵夫妻だ。

「きっと、色々と楽しみにしているとか、そういう内容でしょうね……」

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