光を掴んだその先に。




「わぁ可愛いっ!本当にいいの!?」


「いいのよ。絃ちゃんにぜったい似合うと思って、少し前に買っておいたの」


「ありがとう雅美さんっ」



誕生日プレゼントだと差し出された、ターコイズブルー色のシャツ型ワンピース。

お腹回りに飾る細いベルトが付属されていて、かなり大人っぽい1着だった。



「こういうのずっと着てみたかったの…!大切にするねっ」


「そんなに喜んでくれるならもう1着買ってもよかったかしら」


「ううんっ!すっごく嬉しい…!」



今まではショートパンツばかりで。

施設の子供たちと遊んだりしやすいし、なにより走りやすいから。

だからこういうロングスカートは履いたことがなくて。


それにここでは着物が普段着にもなっていたから、まさか雅美さんからこんなにも素敵な洋服がプレゼントされるなんて夢みたいだ。



「どう那岐っ!似合う?」



ヒラヒラとスカートを靡かせて一番に見せた。

大人っぽく髪の毛も下ろして、シンプルなカチューシャをひとつ。


私の髪は生まれつき茶色だった。

それはここにきて分かったこと。
お父さんに似たんだって。



「……まだ早ぇだろ、そういうのは」


「え……、似合わない…?」


「そうは言ってない」



まだ早いって…私もう17歳だよ。

確かに那岐からしたら子供かもしれないけどさ。



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