天才か、狂人か。     ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~
第18話


第18話

空蝉の音、美しき敗者の背中




野球部マネージャー 筒井ミク
*******************************************



その声援を聞くだけで・・・

選手のみんな以上に、
大変で過酷な環境のはずなのに・・

鳴り止まない大音量の吹奏楽の音を聞くだけで・・目頭が熱くなっていく・・。



“暑い”なんて言ってられないほど、
フィールドが熱くなっていく・・。


みんなのユニフォーム。“綺麗”な格好をしている選手は誰もいない。


エースの憲伸くんが熱投を見せて、

野手陣が必死に打球に飛びついて、
守って守って守り抜く気迫。



相手エース上原君を相手に、

必死に投球に食らいついて、
一塁にヘッドスライディングして、

どんな形でもいいから塁に出ようとする気迫。


1回裏に愛工大 名錬が先制。
7回表に青愛学園が同点。


[1―1]のまま・・・・


「「「「ナイス久慈!!!」」」」


14回裏の守りが終了・・!


ついに・・ホントの最終・・【延長15回】の攻防に入ろうとしていた。


この回に点を入れられなければ、
青愛学園の勝利は無くなる。


この回に点を入れられなければ、
裏の守りを“0”で終えて、

[引き分け再試合]に持ち込むしかない。


だから・・青愛学園“勝利”の為には、この回に1点を上げないといけない・・!!



13時の試合開始から、
あっという間に現時刻14時30分。


陽はまだまだ爛々とフィールドへ降り注いでいる。


< 315 / 399 >

この作品をシェア

pagetop