天才か、狂人か。     ~変 態 化学教師、野球部の監督にさせられる~


最後もやっぱり薄気味悪い笑顔を浮かべた阿部先生が・・病室を出て行った。


しかし・・マッドサイエンティスト本人が否定してくれた。


[夏の大会前には、服用させるのを止めた]


だから・・もう深く考えるのはよそう。



だったらどうして高校野球規定を確認して、

試合前のドーピング検査有無を調べたのかという事も・・




エースの憲伸君が4回戦で足に打球を受けた時、

病院の診断より1日早く復帰できた事も・・




準決勝で足を負傷した福留君が、決勝で起死回生の同点HRを放った事も・・




決勝という大舞台で龍君が3本のホームランを放ってついに覚醒した事も・・




最後の白球をつかみ取った荒木君が立派なセカンドとして成長した事も・・



あの夏の出来事は全て・・
・・彼らの努力の結果・・。





[杉下さん・・・・・・。]


マッドサイエンティストが最後に病室を出て行く時にできた・・無言の約3秒。


あの無言で[結論]は出せなくなった。
あの男は結局【どっち】だったのか?


何も言葉を発さなかったけど・・あの1年を一緒に過ごしてきたからこそ・・

あの無言の約3秒・・

何を言いたかったのか・・私の心にダイレクトに伝わった気がした。






[教頭あなたは馬鹿ですか?

マッドサイエンティストは、
まともな青春物語なんか描きません。]



考えてもキリが無いので、
少し眠る事にしよう・・・・。






       天才か、狂人か。  終


















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