お願い、あと少しだけ
山下公園から中華街へ
まず、駅から歩いて、山下公園に行った。カフェラテをカフェからテイクアウトして、散歩した。

「奈緒子、笑って」

スマホを構える弘樹。バッグには港が広がっている。カシャ、カシャ、カシャ。奈緒子の表情を逃さないように、弘樹は連写で撮った。

「奈緒子、今度はこっちで」

「ねぇ、弘樹、2人で写ろうよ」

弘樹は、自撮り棒を持ってきていた。これがあると助かる。

いちばん表情のいいのを待ち受けにしたかったから、また、連写にした。

「カモメがいっぱいいるねぇ・・・」

奈緒子が言った。カモメと奈緒子のショットと言うのもいいかもしれない。

「奈緒子、カモメに寄ってみようか。いい写真が撮れるかも」

「分かった。あとで、弘樹とカモメ、2人とカモメ、ね」

と言って、奈緒子が笑った。

カモメとのショットも無事に撮り終わり、時刻は12時に近くなっていた。

「奈緒子、飲茶がいいって言ってたよね?店を探しておいたんだ。オーダーバイキングの飲茶店なんだけど、いいかな。僕も初めてなんだけど」

「うん、いいよ」

少し歩いて、横浜中華街へ。弘樹の言っていた、飲茶オーダーバイキングの店は盛況のようで列を作っていた。

「予約しとけばよかったな。ごめん」

弘樹が本当に申し訳なさそうに言うから、奈緒子は全然大丈夫、と笑顔で言った。

呼び込みをしている女性が、チャイナ服を着ているから、一緒に写真を撮ってもらいたいな、と奈緒子は思った。

「ねぇ、あのお姉さんと一緒に、写真、撮ってもらえないかな」

奈緒子は弘樹に言った。

「あぁ、もちろん。頼んでみよう」

頼んでみると、もちろん、いいですよ、という愛想のいい返事がもらえた。弘樹、また連写モードで撮る。そして、思った。奈緒子もチャイナ服、来てみたいんじゃないかな。ふとそんなことを思い、スマホでチャイナ服レンタルをできるところを探した。1時間1500円で着れるところが見つかって、奈緒子に提案した。

「なぁ・・・奈緒子もチャイナ服、着てみないか?きっと似合うよ」

奈緒子がぱぁっ、と顔をほころばせて、言った。

「いいの?着てみたい」

「じゃあ、予約するよ。ごはん食べたあとだから、3時くらいかな」

弘樹はスマホ画面から、ぱぱっ、と予約を始めた。

「奈緒子、好きな色は?」

「ピンク・・・でも、この年でないかな?」

「そんなことない・・・ピンク、な。よしっ、と完了」

そう言っているうちに、2人は席に通された。
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