目が合った、理由
教室に凛とした低い声が響く。

「〜で、〜となります。」
淀みなく、スラスラと難しい計算式を正確に答える君。

サラサラの黒髪が、風になびいた。

司君は、得意な数学で一度も間違ったところを見たことが無い。
クラスメイトから「おぉ〜」と歓声があがり、先生も満足気に頷いている。

司君は気にも留めず静かに席に座った。

クラスメイトはまだ彼を羨望の眼差しで見ている。

「わ〜凄い全問正解だ…!かっこいいなぁ…」
そんな彼を少し離れた席からボーっと見ているその他クラスメイトB、はい。私です。ちなみにいま説明された問題は間違っていました。

みっちりと書き込んだ間違いの計算式を、
ゴシゴシと消しゴムで消していく。
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