甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

今日は一体どこに行くんだろう。
何か食べられないものはないかって聞かれたから、きっとランチに連れてってくれるんだろうけど。

かごバックから手鏡を出してもう1度身だしなみをチェックしていると、なめらかな運転でロータリーに入ってきた1台の赤いスポーツカーが目の前で停まった。

誰もが知る外国車のエンブレムが輝くその車の運転席から、私服姿の九条先生が降りてくる。

ライトグレーのジャケットに白シャツ、黒い細身のパンツを合わせたモノトーンのシンプルなコーディネートは、先生の魅力を余すところなく引き出している。

映画のワンシーンのような光景に、駅前にいる誰もがつい視線を彼に止めてしまうほど。

私はあまりの素敵さに咄嗟に身動きがとれず、ただ先生がこっちに向かってくるのを見つめるしか出来なかった。

「おはよう、瀬尾さん。早いね」

自分の近くまで九条先生が来て、ようやく目が覚めたように意識が覚醒する。

「お、おはようございます」
「いつも健診で見てる服装もいいけど、今日のワンピースは一段と可愛い。よく似合ってるよ」

休日仕様の先生の登場にドキドキしているのにも関わらず、上乗せするように微笑みながらさらりと褒めてもらい、待ち合わせ早々心臓に負荷がかかりすぎて気が遠くなりそう。

「せっかくの可愛い姿をもっと眺めていたいけど、あまり長く停めてられないから。車に行こうか」
「は、…はい」

もう呼吸すら怪しくて、なんとか息を吐きながら返事をして先生についていく。

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