△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~




 あれからずっと考えている。
 『夏は冬に会いたくなる』を諦めれば、作家になるという夢は叶えられるのだろうか、と。
 もし盗作だったと認められても、きっとその事件で虹雫が有名になっていまうはずだ。そして、自分が愚かだった事も、何をされたのかも。実力ではない事でデビューを果たすのか。
 それだったら、本当に忘れた事にしてしてしまえば楽になれるのだろうか。
 もう悩まないで夢へと進んでいける。

 そんな風にさえ思ってしまうのだ。



 コンコンッ。


 
 考え込んでいた虹雫の耳に、硬い物を叩く音が聞こえた。
 風で何かぶつかったのだろうか?そう思ったが、すぐにまたコンコンとノックするような音が静かな図書館内に響いた。
 音がしたのは、図書館の入口のドアだった。透明な自動ドアも、今はロックされており外側からは入ることが出来ない。そこを見ると、人影が見えた。誰か本を返しに来たのだろうか?と、虹雫はそちらへ足を運ぶ。



 「宮。それに剣杜………?」



 そこにいたのは、幼馴染み2人の姿だった。剣杜に会うのは少し気まずかったが、虹雫は慌てて鍵を開けて、外へ出る。


 「どうしたの?2人揃って……」
 「ほら……やっぱり忘れただろ?」
 「え?」
 「虹雫。今日は3人で食事会の予定だっただろう?」
 「……あぁ……そうだった……。いろいろ考え事をしてるうちに」




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