あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています
現在恋人はいないし、好きな女性もいない。
だが、結婚とビジネスを結びつけるやり方は好きではない。
ちらりと由理恵をみると、割り切っているか、笑みを浮かべ余裕の面持ちだ。
結局俺が呼ばれたのは、この場でイエスと言わせるためだった。
西園寺社長が帰ったあと、俺は苛立ちを押さえきれず、握り拳に力を入れ社長である父を睨みつけた。
「何で黙ってたんですか?」
「言ったらお前はここに来たか?」
もちろん来なかった。
「お前には悪いと思ってる。だが、お前が朝倉ホールディングスの後継者である以上、自由な結婚は望めない」
父は大きなため息をついた。
実は父も母と政略結婚だった。
父たちは偶然にも相性がよく、仲の良い夫婦として共に支え合っている。
だがみんながみんなうちの両親のような夫婦ではない。
「俺に結婚相手を選ぶ権利は存在しないんですか?」
父は何も答えなかった。
苛立ちをぶつけることもできなかった俺は、
「俺は、こんな結婚するつもりはない」
そういって社長室を出た。
< 51 / 148 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop