あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています
家に着くと柊一が泣きはらした目でよちよち歩きで出迎えてくれた。
「柊ちゃん、ママ帰ってきたね〜。よかったね」
祖母が声をかけると満面の笑みを浮かべる。
「マンマ、マンマ」
柊一は手を広げで私に抱きついた。
「柊ちゃん、遅くなってごめんね。ばあちゃんごめんね」
「私はいいんだよ。それよりも家政婦なんて……本当にいいのかい?」
「いいの。だって蛍の森を守りたいもん」
だが、祖母の心配はそんなことではなかった。
「そうじゃなくて私が心配してるのは、朝倉くんは独身であんたとも歳が近いから……」
祖母の心配は仕事とはいえ、私が独身男性の家へ通うことだった。
祖母は話を続けた。
「ここは小さな島だし、変な噂がたつと面倒だからね」
そうなのだ。小さい島だからちょっとした異変にも敏感に反応してしまう。
私が妊娠をした時も、父親がいないことで、あらぬ噂を立てられた。
だがその時は祖父母が島の人たちに上手に説明してくれた。
だからこそ気をつけないとお互いのとために良くない。
「大丈夫よ。心配しないで」
「翼がそういうのなら……わかったよ」
「ありがとう。ちょっと柊と一緒に畑に行ってくるね。じいちゃんにも話しておかないと」
柊一を抱っこして、畑にいる祖父のもとへ向かった。
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