あの夜身ごもったら、赤ちゃんごと御曹司に溺愛されています
祖父には、あの森の所有者が変わりないことを説明した。
その上で蛍の森だけは一切手を加えず、一般公開もしないという約束を取り付けたことを説明した。
その上で、交換条件として彼の身の回りの世話をすることを説明した。
「お前がそこまであの森に執着していたとは……悪いことをしたな」
「謝らないで。これは本当に私のわがままなの。じいちゃんに迷惑かけて本当にごめんなさい」
そして祖母と同じように、柊一もいることだから、行動には気をつけるように言われた。

その日の夜、パソコンを開くとハンドメイドアプリからたくさんのオーダーが入っていた。
最近はリピーターさんも増えて、嬉しい限りだ。
上京した頃の私は、東京で成功することが全てだと思っていた。
だからがむしゃらに仕事をした。
いつか自分のブランドを立ち上げるという夢を持って……。
だがあんなことがあって一時は、大好きだったものが大嫌いになっていた。
それをもう一度好きになれたのはこの島でのゆったりとした生活があったからだ。
それは今の自分の作品にも現れている。
海に囲まれた島。
そこから見える、空、海、山、そして蛍の輝き。
ここから生まれた発想が作品となり、自分のブランドとして発信できることが今は何よりもたのしい。
ただ、今は子育てや日々の生活で、制作できるのは柊一が眠っている時。
それに明日から家政婦という仕事が増える。
そう、恋人ではなく家政婦だ。
でも私はそれでも構わない。
彼のそばにいられるのなら。
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